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だららんのそのそのほほん日記
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時間がないとか言いつつ、唐突に、唐突に、ういういとしたものが書きたくなったんですよ。
ぎくしゃくとしたものではなく、確立したういういが!(確立したというのは双方が好きと認め合ってるの意です)
というわけで、どういうわけか、最終話の最終部だけをとった短編を書き始めておったのですが、が!
ここで息詰まるという、ありえないことをしでかしました。だめだぁ!
あっさり落ちると思われたのに、なかなかしぶとかった。今日中に仕上がると思ったのに、これから出かけなきゃなので、ちょっと無理そうです。
というわけで、かなり中途半端ですが、途中でちょん切れてますが、追記にとりゃっと投げ込みます。
リシェルとラスリーの関係性にも似てますが、作者が同じなので仕方がないですよってことで(逃げ)
あと、これは日本ではないので、細かい設定は省略で(逃げ)
4o'clockと同じ世界の異世界ですよ!なので、実際とは違うんですよ!お花関連はほぼ全部4o'clockと同じ世界です。
お花好きだな、とか、また名前関連か、とか、だって、私はそれが大好きなんですってことで(逃げ)
終了し次第ちゃんと本ページの方に上げますが、とりあえず途中まで。
ちゃんと見直しはまだしてないので、変な日本語が多数あるかもしれません。
それでもOKとおっしゃってくれる方は、ぽちっとどうぞ。

拍手ありがとうございます。
ちゃんと他のも進めます故、見逃してくださいませ。

 
椿


 その名を与えられし花は、散ることなく、ほとりと落つる。
 
 ―――落ちても尚美しいとはまさにこのことよのう
と誰かが言った。
 
 ―――それならば、庭を埋め尽くすほどの椿を植えておきましょう
と誰かが答えた。
 お待ちしましょう、と。こことあなたに分かるように、と。
 
けれども、その花の名を与えられしものは、こどもは―――どうすれば良いのか。
 
 
 
 
 霞がけぶる中、常緑に埋もれる鮮やかな紅に目を細む。
 椿、と呼びかければ、彼の少女は口を引き結んで、ついと目線をこちらに向け、けれども、すぐに咲き乱れる紅い椿の花へと何ともきまり悪そうに目を逸らした。
 意味もなく紛らわそうと己の指先で黄の芯をつつく少女を眺めて、朔(ついたち)は相好を崩してうち笑う。
「ね、お茶の一つも出ないものかな?」
「……いい、けど」
 艶やかな花弁に触れた手は、そろりと震えて、零れそうな紅は落ちることなく枝にしがみつく。朔は、椿から離れた手を落ちる前に己の手に取った。彼女の手は、小さくて、白くて、だが、細かく切れた皮膚には紅が滲む。冷たい冬の水にさらされた手は、綺麗でも至るところに傷がある。
 ね、と朔は首を傾げて、己よりも背の低い女子(おなご)の顔を覗き込んだ。至極透明な黒茶の瞳が、それでも光を宿す黒茶の瞳が、かち合うと同時に微かに揺れる瞬間が朔は例えようもなく好きだった。
「ね、椿。祝言を挙げない?」
 一対の黒茶がわずかに開かれ、そのまま、くしゃりと歪んで崩れる。
「いいけど、とは言わないの?」
 朔が問えば、椿はふるりと一度首を振って、「何度も言った」と掠れた声を響かせた。
 彼らの間を吹いた風は、黒い髪を掬っては流れる。目の前を行きすぎる黒糸を、そのままに、風が治まるのを待って、朔は再び口を開いた。
「だから、何度も言ってるんでしょう? 出会った時から、ずっと。椿が何度も断るから」
 かつて胡乱げに向けられていた瞳は、今や痛ましげに代わり、どちらの方が良かったのか朔には分からなかった。それでも、時折向けられる穏やかに凪いだ瞳の色があるから、今の方が前にも増してより愛おしいと思える。率直に嬉しいと思う。
ね、と声を掛ければ、まるで遮るように彼女はぽつりと呟く。
「朔は武家でしょう」
「椿も武家の娘でしょう?」
「……落ちぶれてる」
「別に構わないよ。もう戦なんて疾うの昔に果てた。今じゃ武家も名ばかり」
 そうでしょう? と返せば、少女からは「そうじゃなくて」と返る。
「何度も言ってるでしょう。椿は、……忌まれてる」
 散ることなく花の姿のまま、ほとりと首を落とす椿は縁起が悪いと。落つ首も、太平となった今では最早ないというのに―――出回った風習はなかなか削がれはしない。
 椿というその名だけで、ないがしろにされてきたその女子は、ひたと目の前に立つ青年を見据えた。
「だから、嫌。朔の首が落ちるのは嫌」
 落ちるわけがないでしょ、と苦笑して彼女の額を、ていと押し叩けば、「落ちたらどうするのよ」と不機嫌な声が戻る。
「父上の首は」
「うん、分かってる。何度も聞いたから」
 椿を愛でた彼女の父は闘争の中で首を落とされた。彼女の母は、約束の為に椿を植えた。産まれた女子にも彼の愛する花の名を授けて待った。
落とされた首はほんに美しゅうて、まるで地に落つった椿の花のようじゃったと、目を細めては涙した、と。椿は、その母の姿を何度も何度も見てきたのだ、と。朔は聞き知っていた。
「だけど、だからこそ、椿の名は愛されてつけられた名でしょう? それを、忘れちゃいけない。椿は自分の名が嫌い?」
「嫌いじゃないけど……」
 嫌い、と呟き、目を伏せた少女の顔には翳が落ちる。瞬かれると同時に陽光をも弾く睫毛は、そよ風を送るようにそ、と揺れる。
朔は刻一刻と留まることなく些細な変化を起こす彼女の表情を眺めやって、ふと目を細めた。逸らされた一対を探るように、椿の顎に添えた手をくいと上げる。
ね、と朔はまるで逸らすのを惜しむかのように、少女の黒茶を見据えた。
「僕は、ひらひらと舞う山茶花よりも、ほとりと落つる椿の方が好きだよ?」
 ね、と朔は楽しそうに、面白そうに、朗らかに、続ける。
「知ってる? 椿はとても人に好まれているよ。
椿の油は髪を艶やかにするのに使われるでしょう? それに、刀を錆びにくくもしてくれる。葉は打撲にもよく効くし、葉が灰になれば媒染剤にも、焼き物の釉薬(うわぐすり)にもなる。椿の材木は重宝されているし、炭は火の粉も飛ばさぬ高級品だよ。それにね、椿の木には神が宿るとされている。邪気や災いを払ってくれる、と忌避されるよりも、もっと古からずっとずっと言い伝えられているんだ。
忌まれるよりも、椿はずっと人に好かれてきたんだよ。ずっと好かれているんだよ」
 
椿は何も答えない。唇の端をほんの少し噛んで、逸らしたくても逸らすことは叶わないから、椿はただ朔をじい、と見上げるしかなかった。
つまりね、何が言いたいかと言うとね、と朔は相も変わらず、ほんのりと笑う。
「僕は椿がとても愛おしいということ」
 そこに彼女の意思は存在しなくて、いつも青年の笑みによって端へと追いやられて。むと眉を寄せて抵抗してみても、打ち消されて泡のように溶けて弾けるから、椿は余計に悲しかった。きっと朔はこんなこと気付いてもいないのだろうけど。やはり、気付いて欲しくはないのだけれど。
 朔は、と椿は青年をじいと見上げたまま心細げに口を動かした。
「どうして、そんなことばかり言うの?」
 ほっといてくれればいいのに、と彼が姿を現す度に、椿は思ってしまう。そうしたら、どんなに楽だろうかと考えていたのは始めからで、けれども、どこか違ってきてしまったのはいつからだったろうか。
 きゅっと握りしめた袖は皺が寄って、離さなければと分かっているのに、握りしめてしまう。掴まっていないと、落ちてしまいそうで、どうしても怖かったから―――きゅっと、手に力ばかりが籠る。
だから、いつも言っているのに、と朔はくつりと笑った。
私もいつも言っているでしょう、と椿は笑われたことに納得がいかなくて、青年を睨めつけた。


つづく

****


以上、椿そこふんばんなくていいから!な行き詰まりでした。
火曜日までには、あげられるはずです。嘘ばっかり付いてるので、信用してはだめですが。
そのときは、おまけつきで上げられるといーなー(遠い目)

お付き合いありがとうございました。
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