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だららんのそのそのほほん日記
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ケーブルで、「ホリデイ」の映画があるのを発見して、嬉々として録画してました、今日。
が、映ってない!録画しながら見ようと思ったら、その番組局は配信されてない模様。
予約はできたのに。
映るか確認してなかったのも悪いが。
い や が ら せ か - !(違う)けど、そんな気分ですorz
楽しみにしてたのに、うきうきしてたのに。

拍手ありがとうございました。
もうこうなったら、千と千尋が見たいです。
周りの人みんなが見たい見たい言ってるから私まで見たくなりました。
かまじい好き。あと、かえる。







久しぶりに発掘したので、微妙に続きを書いてみた短編を貼り付け。
オチなし、狂いぎみ、紅っぽい。
楽しいかと聞かれると楽しくはない話なのです。変な話です。
一応オチありの続きもあるけど、続きは書きそうにないかもしれないそんな話。
もしも、苦手系じゃなくて、よろしかったら、くらいで……!
紅、苦手な人は要素が似てるのでだめかと思われます(笑)

***

ことり

誰もいらない。
何もいらない。
一つでいい。
 
「――返してっ! 返してよぉっ!」
 
 少女は空を見上げた。
 落ち続ける雨を払うことなく、懇願する。
「か、えして……お願い」
 震える手を握りしめることはできない。
 大切な大切な存在を抱えていたのだ。
 ふうわりと包まれた彼女の両手の中には、瞼を閉じて固くなった緑の鳥が一羽。
 その小鳥が彼女の世界の全てだった。彼女はそれ以外に何も持たなかった。
「返し、て、……戻って来てっ、……何もいらない、何もいらないからぁっ」
 嗚咽は広い森には木霊しないから、彼女のちっぽけな願いなど届くことなどない。
「……ことりぃ……」
 少女は空を仰ぎ見る。
 密に重なり合う木々の枝間から見える青い空は光に満ちていた。
 小鳥と同じ鮮やかな緑を通り抜けて見える青い青い空。
 少女は空を仰ぎ見て――そうして彼女は光を失った。
 
 何もいらないと、彼女は叫んだ。
 だから、神様はためしに彼女から光を取り上げてみたのでしょう。
 小さな願いの代わりに叶えてくれたのは、『いらない』という大きな願いだけでした。
 
 
*****
 
 
 森の中は光に満ちる。
 けれど、そのことを知らない者がいた。
 歩けども、歩けども、見えるのは暗い闇ばかり。
 彼女はいつもの場所で立ち止まる。
 光を失った場所。それよりも、もっと大きな存在を失った場所。
「ことり」
 彼女は木肌を撫でてうろを探し当てると、ためらいもなく手を差し入れ、ほうっと吐息を漏らした。
 骨ばかりとなってしまった小鳥を、彼女は確かめるように撫でる。
 残された羽はたったの一枚。薄汚れた羽はかさかさとして、白くなっていた。
 だが、彼女はこのことを知らない。
 彼女の目には今も極上の緑しか映ってはいなかった。
「だめ? まだ返らないの、ことり? 帰ってはこれないの?」
 今日も彼女は絶望を宿して、ずるずると身を滑らせる。
 地面はいつも暖かい。木の肌もいつも暖かい。
 しかし、待ち望んでいる小鳥だけは、もう温かみを失くしてしまった。
 暖かいのか、冷たいのかさえ、今では判断がつかなくなってきた。
 彼女はぼんやりと虚空を彷徨う。
 じっと動かないで、足が、手が根を持つように。背が幹となるように。
 そうしていれば、楽だった。
 もう何もいらないのに。
 いっそ溶けてしまえばいいと、思いながら、彼女は今日も瞼を閉じる。
 耳を騒がすのは、さわさわと鳴る葉擦れ。小動物が折れた枝を踏みしだく音。そして、小鳥のさえずり。
 けれども、それは、決して『ことり』のものではなかった。
 だから、彼女は今日も瞼を下ろして、消えてしまおうと試みる。器だけ残して溶けてしまおうと。
 『ことり』と同じ様に止まってしまおうと。
 そうして、今日も彼女は眠りに落ちた。
 
 
 
 
「ひゅーぴゅろろ、ひゅっぴょ」
 
 声が聞こえた。懐かしい、懐かしい、ずっと求めていた声だった。
 それでも、これはまた夢なのだろうと、彼女は開きかけた瞼を再び閉じる。開いたことにも閉じたことにも、彼女は気付きやしなかった。
 背を幹と同化させたまま、彼女は眠り続けた。
「ひゅろぴゅっろひゅー」
「こと、り?」
 夢うつつで、彼女は両手を宙へと伸ばす。
 彼女の指先に、かつての小鳥がのることはなかった。しかし、代わりにさえずりは再び響いた。
 彼女の指先に、かつての小鳥がのることはなかった。しかし、代わりに彼女の指先に一枚の葉がひらりと落ちて触れた。
 確かに、聴こえた独特な彼女の『ことり』の鳴き声。確かに、感じた微かな重みに、彼女は目を覚ました。
 立ち上がって、聞こえる声の方へと駆けだす。
「――ことり!? ことり!?」
 生い茂る下草を必死でかきわけて、彼女は走った。枝葉が、頬を弾く。血が滲んでいることにも気付かず、彼女は声だけを求めて進んだ。
 その間もさえずりはまた響く。
 彼女は、頬を緩ませた。
「ああ……ことり! ことり、帰ってこれたのね。ずっと、ずっと待っていたのよ」
 ようやく茂みを抜けたところで、彼女は宙へと人差し指を差し出す。
 遮るもののない開けた場所を、ざあっと風が吹き抜ける。
 それを、合図とするかのように、『ことり』はぴたりとさえずりを止めた。
「ことり?」
 彼女は首を傾げる。軽く曲げた一指をさらに差し出した。
「どうしたの? いつものように指にのっていいのよ? そして、いつものように歌ってちょうだい」
「……ぴゅっ……」
「そう、いいこね。いらっしゃい」
 戸惑ったように鳴いた『ことり』を、彼女は嬉しそうに微笑んで招く。
 けれども、『ことり』が彼女の指にのることはなかった。それどころか、もう声さえ聴こえなくなってしまったことに、彼女は絶望した。
「――いやっ。どうして、ことり。いないの? また、いなくなってしまったの?」
 彼女の目は何の機能も果たしてはいないと言うのに、彼女の目からは、はたはたと涙がこぼれた。
 雫を吸い込んでは新たな染みをつくっていく地面に、彼女は崩れ落ちるように座り込んだ。
「ことり……ことりことりことり」
 また空耳だったのだ、と。もう何度目のことだろう。
 膝に顔を埋めて彼女はすすり泣く。
 それでも、彼女の人差し指だけは、まだ乞うように指し伸ばされていた。
「いや寂しい恐い助けて、たす、けて、ことりぃ……」
 ことりことりことり、と彼女は壊れたように名を繰り返す。風が吹いて、葉がさやさやと音を奏でるその中で、ひっくひっくという嗚咽だけが果てしなく続くかのように思われた。
 だが、それも終わる。疲れてしまったのだろう。やがて、嗚咽はふっつりと途切れた。
 彼女は、泣くこともできない苦しさに、呻き声を洩らす。
 その時だった。
 彼女の指先に『ことり』の足が掛けられたのだ。
 彼女は、ぼうと重たくなってしまった頭をゆっくりともたげる。
「……ことり?」
「…………」
 尋ねてみるが、答えはない。記憶の中のものよりも、温かみのある脚だった。肌に引っかかる感じがしていたはずの爪のあるかさかさとした細い脚は、滑らかで幾分か太い。
 ただ『ことり』の脚はきちんと二本であった。記憶の中にある『ことり』と同じ。新緑よりも鮮やかな緑の羽をもった彼女の小鳥。
 消えたりはしない。まだ、人差し指に確かに二本の脚の感触を感じる。
 彼女は喜色を浮かべた。赤く腫れぼったい瞼にまで、喜びを露わにする。
「ことり!」
 ことり、ことり、と彼女は熱に浮かされたように『ことり』を呼ぶ。嬉しさに彼女が『ことり』の緑色の体へ頬を擦り寄せようとしたところで、『ことり』は彼女の指先から離れた。
「…………ことり?」
 彼女は不安気に宙へと問いかけ、無い視線を彷徨わせた。
 遅れて、ぱたぱたと去っていく音が耳に届く。
 それで、彼女は『ことり』が行ってしまったのだと分かった。
また潰えてしまった希望。彼女は膝を抱えてうずくまった。
頭上では風が吹きぬけて、さわさわと涼しげな音を鳴らし続ける。
今度こそ溶けてしまえたらいいのに、と彼女は暗闇の中、再び瞳を閉じた。
 
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